別紙

平成19年度「保健医療分野における基礎研究推進事業」採択課題一覧

 

(1)分野

総括研究代表者名

所属研究

機関名

研究課題名

研究費配分予定額(百万円)*

研究概要

小嶋 聡一

(独)理化学研究所 分子細胞病態学研究ユニット 研究ユニットリーダー

TGF-β活性化反応を標的とした肝疾患の新規診断法、治療・予防法の開発

96

肝疾患の主要病因因子であるTGF-βのプロテアーゼ依存活性化反応を戦略目標とし、同反応を検出する特殊な抗体を用いる血液検査用ELISAキット・非侵襲的肝疾患PET診断技術の開発と、同反応の阻害ペプチド、その効果を相乗的に増強する TGF-βシグナル伝達抑制物質を用いた治療・予防法の開発を最終目標とした基礎と臨床を橋渡しする研究を行う。

関水 和久

東京大学 大学院薬学系研究科 教授

カイコ幼虫感染症モデルを用いた、バイオアッセイによる感染症治療薬シーズの開発

78

近年、緑膿菌や黄色ブドウ球菌などによる、多剤耐性菌による院内および市中感染が問題になっており、それらに有効な新規抗生物質の開発は喫緊の課題となっている。しかしながら、その開発に必要な費用は膨大となっており、より効率的なスクリーニング系が求められている。そこで、本研究では、社会的な要請に応えるべく、安価な感染動物モデルとして昆虫を用い、治療効果を指標とした極めて効率的な新規抗生物質の探索法の確立を目指す。

山口 明人

大阪大学 産業科学研究所 教授

多剤耐性菌感染症を克服する新規治療薬の開発

98

近年、多剤耐性菌出現が医療現場において問題となっている。化学療法が困難な多剤耐性菌の出現により、人類は感染症の脅威に曝されており、感染症克服は医学的重要課題である。ゲノム解析の結果、細菌染色体上には、多剤耐性菌を生み出す要因となる多剤排出蛋白質遺伝子が数多く潜在していることが明らかになってきた。多剤排出蛋白質は多剤耐性のみならず細菌病原性発現にも関与している。本研究では細菌ゲノムに潜む多剤排出蛋白質の多剤耐性および病原性における役割を解明し、多剤排出蛋白質阻害剤開発につなげる。耐性菌感染症克服のための新規治療法確立を目指す。

吉村 昭彦

九州大学 生体防御医学研究所 教授

JAKチロシンキナーゼ制御によるアレルギー、炎症性疾患治療の新戦略

68

これまでのSOCS研究の成果をもとに、SOCSの発現ベクター、siRNAもしくは精製タンパク質をナノスフェア粒子に封入する新しいDDSを開発することで、より実用的なSOCS分子の応用をめざす。さらにSOCSのキナーゼ阻害領域を模倣するペプチドないしその構造類似体(SOCS-mimetics)を検索しより特異性と阻害活性の強いJAK阻害剤を見いだす。これらの有効性をアレルギー、難治性炎症性疾患モデルにて検証し、有望なものについては臨床応用まで展開する。

 

(2)分野

総括研究代表者名

所属機関

及び役職

研究課題名

研究費配分予定額(百万円)*

研究概要

有賀 寛芳

北海道大学 薬学研究院 教授

DJ-1DJ-1結合化合物による根本的神経変性疾患治療薬の開発

89

酸化ストレスが発症原因と考えらえるパーキンソン病などの神経変性疾患の治療は、対症療薬が用いられており、治療中も神経細胞死は進行する。申請者が癌遺伝子として単離したDJ-1は、パーキンソン病の原因遺伝子であり、機能亢進が癌、機能不全がパーキンソン病などの神経変性疾患を発症させる。DJ-1及びin silicoで同定したDJ-1結合低分子化合物は、パーキンソン病、脳卒中モデル動物症状を劇的に改善した。以上より、DJ-1DJ-1結合化合物による根本的神経変性疾患治療薬の開発を行う。

池田 穰衛

東海大学 医学部基礎医学系、大学院先端医科学系 教授・脳神経疾患研究センター長

酸化ストレス性神経細胞死を標的としたALS治療薬の開発と薬効の分子機序解明

94

筋萎縮性側索硬化症(ALS)は上位と下位の運動神経の変性脱落を特徴とする進行性の難治性運動神経変性疾患である。また、その治療薬は皆無である。ALSの発症と進行の分子背景として、酸化ストレスや活性酸素種による運動神経の変性・細胞死を裏付ける知見が数多く蓄積している。Neuronal apoptosis inhibitory protein (NAIP)は選択的且つ特異的な酸化ストレス性細胞死抑制活性と神経細胞防御機能を持つ内因性分子である。NAIPを標的分子とした低分子化合物を始原とするALS治療薬開発の preclinical proof-of-concept の確証と薬効分子機序の解明を基にALS治療薬の開発を図る。

岸本 忠三

大阪大学 大学院生命機能研究科 教授

未だ有効な治療法がない免疫、腫瘍性疾患に対する抗IL-6受容体抗体による新規治療法の開発

99

IL-6に関する一連の基礎的研究と、この分子が様々の免疫疾患の発症に関わる分子であることを明らかとした臨床研究の成果を基盤として、我が国初となる抗IL-6受容体抗体が開発され、関節リウマチに対しての保険適応申請中にある。本研究では、医師主導型の臨床試験により、既存の治療薬が十分に開発されていないか、治療法がない難治性の炎症性、腫瘍性疾患に対する抗IL-6受容体抗体の有効性を明らかとし、これらの難病疾患の保健医療水準の向上を目指す。

渋谷 彰

筑波大学 大学院人間総合科学研究科 教授

急性移植片対宿主病の予知診断キットと分子標的療法の開発

94

申請者らは同種造血幹細胞移植後の患者で「急性移植片対宿主病(GVHD)」の発症の直前から可溶性DNAM-1が血清中に増加することを見いだした。さらにGVHDマウスモデルにおいて、DNAM-1ノックアウトマウスをドナーとした場合、また抗DNAM-1モノクローナル抗体を投与したマウスをレシピエントとした場合に、それぞれ急性GVHDの発症が著明に抑制されることを見いだした。これらの結果から、可溶性DNAM-1は急性GVHDの特異的診断に有用であること、また急性GVHDの予防および治療にDNAM-1が標的分子となりうることが強く示唆された。本研究では、1) 高感度可溶性DNAM-1の測定システムの開発とそれを用いた急性GVHDの発症予知診断法、2) DNAM-1を標的とした急性GVHDの予防および治療法の開発を行う。

玉井 克人

大阪大学 大学院医学系研究科 遺伝子治療学 准教授

新規抗菌性ペプチドAG-30の創傷治療への応用

65

我々が同定した新規ペプチドAG(Angiogenic peptide)-30は緑膿菌・黄色ブドウ球菌などに対する広い抗菌活性を有すると同時に強力な血管新生作用も有するユニークなペプチドである。これをリード化合物とした治療用ペプチドの最適化・製剤化を進めるとともに、この抗菌作用と血管新生作用の両方の特性を生かした創傷治療への応用、特に難治性皮膚潰瘍での創傷被覆材の感染防止・植皮の生着改善・創部の肉芽形成を促進する外用剤の開発を行い、臨床応用を目指す。

西平 順

北海道情報大学 経営情報学部 医療情報学科 教授

抗原提示細胞内のMIFを標的とするDDS技術を用いた炎症性腸炎治療薬の開発

62

申請者西平らは炎症性腸疾患(IBD)治療のための標的分子がマクロファージ遊走阻止因子(MIF)であることを示した。分担者櫻井らは多糖β1,3グルカンが核酸と複合体を形成することを発見し核酸を抗原提示細胞(APC)へ送達するDDS技術を開発した。両技術を基礎として、副作用のない天然型アンチセンスDNA/SPG複合体を用い、APC内のMIFを標的とした低侵襲性のIBD治療薬を開発し、臨床医との共同研究のもと、厚生省指定の難病であるIBDの革新的で根本的な治療方法の確立を目指す。

森本 幾夫

東京大学 医科学研究所 先端医療研究センター 免疫病態分野 教授

アスベストばく露による悪性中皮腫の分子基盤に基づく新治療法の開発

98

アスベストばく露による中皮腫の発症は、今後益々増加することが予想されている。しかし劇的な効果を示す治療法は、皆無であり、有効な治療法の開発が急務である。本研究では、中皮腫細胞に選択的に発現し、その悪性腫瘍としての生物学的特徴を担うCD26分子に着目し悪性中皮腫の増殖、浸潤における機能解析を行うと伴に新規治療法の効果・安全性の評価のためヒト中皮腫モデルマウスの開発を通して、CD26を基盤とした新たな理論に基づくヒト化CD26抗体療法の実用化を目指す。

 

 

(3)分野

総括研究代表者名

所属機関

及び役職

研究課題名

研究費配分予定額(百万円)*

研究概要

浅野 竜太郎

東北大学 大学院工学研究科 助教

EGFRを標的とした低分子四価抗体医薬tetrabodyの開発研究

17

本研究は、申請者らが進めているトランスレーショナルリサーチで得た情報、経験に基づき、蛋白質製剤において重要な、製造プロセスを見据えた組換え抗体の設計、開発を目的としている。抗EGFR抗体の、抗腫瘍効果には、多価性の結合の影響が大きいとされる。そこで、EGFRに対して四価で結合する低分子抗体医薬tetrabodyの開発を提案する。大腸菌を用いた調製が可能、かつ単剤で抗腫瘍効果をもたらすtetrabodyは、大幅な製造プロセスの簡略化と低コスト化が見込まれる。

小野 正博

長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科 助教

(H19年12月16日より京都大学 大学院薬学研究科 准教授)

コンフォメーション病診断用分子イメージングプローブの創製

20

アルツハイマー病やプリオン病等の神経疾患の病因として、蛋白質のコンフォメーションの異常に基づいた不溶性アミロイド蛋白質の脳内への沈着が考えられる。しかし不溶性蛋白質を生前に検出することは困難であり、その簡便かつ非侵襲的検出法の開発が望まれている。本研究では、病因蛋白質に結合性を示す放射性SPECTプローブ、蛍光プローブを開発し、分子イメージング技術によるコンフォメーション病病原蛋白質の定量画像評価の構築を目的とする。

川上 浩司

京都大学 大学院医学研究科 薬剤疫学分野 教授

間質性肺炎に対する徐放型ウルトラネブライザーを用いた新規治療法の開発

20

気管内徐放ウルトラネブライザー投与という新規技術を用いて、間質性肺炎等の慢性肺疾患に対して効果的に薬剤を分布させる新規治療方法の開発と臨床応用を目指す。優れた徐放型DDSDrug Delivery System)を開発のブレークスルーに必要としているsiRNAを使用し、ウルトラネブライザーによる効果的な肺胞細胞への到達をモデル動物において評価し、早期の臨床応用を目指す。

鈴木 亮

帝京大学 薬学部 生物薬剤学教室 助教

リポソーム技術と超音波技術の融合による新規抗原デリバリー法の開発とがん免疫療法への応用

15

本研究は、超音波造影ガス封入リポソーム(バブルリポソーム)と超音波の併用による抗原提示細胞への抗原デリバリー法を用いたがん免疫療法の開発である。本方法により、樹状細胞(DC)の細胞質内に直接がん関連抗原を導入可能となるため、がん抗原がMHCクラスTを介して抗原提示され効率のよいがん免疫療法が確立できると期待される。そこで本研究では、DC に積極的に抗原送達可能なリポソーム技術を基盤としたバブルリポソームのがん免疫療法への応用を目指す。

吉岡 靖雄

大阪大学 臨床医工学融合研究教育センター 特任講師

機能性人工蛋白質の抗原性評価法の確立とがんや自己免疫疾患に対する蛋白質医薬品の安全性評価

19

近年、機能性人工蛋白質が蛋白質製剤の中心となりつつあるが、これら機能性人工蛋白質のヒトに対する抗原性を的確に評価する方法は皆無であり、その医薬品化は限局されている。本研究は、アミノ酸置換体などの機能性人工蛋白質の抗原性予測・評価技術を確立し、がんや自己免疫疾患といった五大疾患に対する画期的蛋白質製剤の創出に必須の抗原性試験法やレギュレーションの策定を目指すと共に、これを有効活用したがん等に対する蛋白質医薬品の設計を図るものである。

                                                 *端数切捨てで表示しております。